過去10年の業績をチェックできる日本株分析ツール(無料)

PER(株価収益率)とは、その意味と捉え方、割高・割安指標だけでなく投資家からの期待値も示している

LINEで送る
Pocket

投資を始めると、まず最初によく目にするのが「PER(ピーイーアール)」という文字だと思います。

PERは「Price Earnings Ratio」の略で、それぞれの単語の意味は「Price:価格・値段」「Earnings:利益」「Ratio:割合・比率」です。

3つの単語の直訳だと「価格の中の利益の割合」となり、「価格」を「株価」と言い換えると「株価の中の利益の割合」となりますが、PERは日本語だと「株価収益率」と呼ばれています。

「株価収益率」と言われても何を意味しているのかさっぱり分からないと思いますが、ひとことで言うと「株価が1株当たり利益(EPS=Earnings Per Share)の何倍の値段が付けられているか(=株価が1株あたり利益の何倍まで買われているか)を示す投資指標」です。

つまり、PERとは現在の株価がその会社の利益水準に対して割高か割安かを”収益力から”判断する指標ということです。

PER10倍、PER20倍というように倍率で表され、一般的には倍率が高くなれば「割高」、低くなれば「割安」と判断されます。

PERが10倍ということは、株価が1株あたり利益の10倍まで買われているということです。

PERが20倍ということは、株価が1株あたり利益の20倍まで買われているということです。

PERが高くなるほど「1株あたり利益」に対して株価が買われている(=株価が高い値を付けている)ということなので、「PERが高ければ今の株価は割高」「PERが低ければ今の株価は割安」と、投資する際の目安とされるのです。

バリュー株投資家(株価が実際の価値よりも割安に放置されている銘柄に絞って投資する投資家)などはPERが10〜20倍以下の銘柄を投資対象とすることが多いですが、PERは見方によっては「割安 or 割高」だけでなく「別の側面」も見えてきます。

今回は「PER(株価収益率)」という投資指標が持つ「株価が割安か割高か」という目安だけでなく、「別の側面」にもフォーカスしてPERが示すもう1つの目安についても解説したいと思います。

ちなみに、海外では「PER(Price Earnings Ratio)」を「P/E Ratio」「P/E」「P/Es」などと表記することが多いです。

まずは、各市場や業種ごとの平均PERを知る

自分が投資しようと思っている銘柄の「PERが高いのか低いのか(=株価が割高なのか割安なのか)」の判断材料として、各市場の平均PERを知ることから始まります。

日本経済新聞の「国内の株式指標」には、各市場の「前期基準PER」と「予想PER」が掲載されています。

上記は2018年8月31日時点の各市場のPERです。

株価は将来の価値を織り込むので、基本的にPERは「前期基準PER(実績PER)」ではなく「予想PER」で判断するのが一般的です。

上の表を見ると、2018年8月31日時点では東証1部全銘柄の予想PERが14.79倍、ジャスダックの予想PERが14.04倍に対し、東証2部全銘柄の予想PERは6.27倍と割安になっていることが分かります。

つまり、東証2部の銘柄は株価に割高感がない銘柄が多いということが分かります。

また、「前期基準(=過去)」と「予想(=未来)」を比較することで、投資家のマネーの流れが見えてきます。

たとえば、東証1部は「前期基準PER」が14.50倍に対し「予想PER」は14.79倍とPERが上がっています(=PERが割高になっています)。

つまり、東証1部銘柄にマネーが流れ、株価が前期比で上昇しているということです。

逆に、ジャスダックは「前期基準PER」が23.30倍に対し「予想PER」は14.04倍とPERが大幅に下がっています(PERが割安になっています)。

つまり、ジャスダック銘柄から多くのマネーが引きあげ、株価が前期比で下落しているということです。

また、PERの平均値は業種によっても大きく異なります。

たとえば、銀行や保険、商社、自動車関連などのPERは10倍前後と低めですが、ITやネット通販、ゲームなどは30〜40倍以上になる銘柄もあります。

ロボットやAI、IoTといった将来の伸びしろに期待できる業種は、100倍以上のPERを付ける銘柄もあります。

そのため、まずは各市場の平均的なPERを知り、その後、自分が投資を考えている銘柄の同業種内でPERを比較することが重要になってきます。

日本取引所グループの「規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧」では、各業種の平均PERを見ることができます。

基本的に、マザーズ市場は新興企業が多いので、将来の期待が高くなるぶん、PERも高くなる傾向があります。

PER(株価収益率)の計算方法

先程、「PERとは株価が1株あたり利益の何倍まで買われているかを示す投資指標」と言いましたが、PERは「株価」を「1株あたり利益(EPS=Earnings Per Share)」で割って計算します。

◎PER = 株価 ÷ EPS(1株あたり利益)

たとえば、株価が「2000円」でEPS(1株あたり利益)が「100円」だとPERは「20倍」になります。(2000 ÷ 100 = 20 ※下図)

仮に、この銘柄の株価が1800円に下落すれば、「1800 ÷ 100 = 18」となり、PERは20倍から18倍へと下落(=割安)になります。(※下図)

逆に、株価が2500円に上昇すれば、「2500 ÷ 100 = 25」となり、PERは20倍から25倍へと上昇(=割高)になります。(※下図)

EPS(1株あたり利益)は「当期純利益 ÷ 発行済株式総数」で計算するので、増資などをして発行済株式総数が増えると、EPS(1株あたり利益)が減少します。

仮に、株価は2000円と変わらなくても、増資によってEPS(1株あたり利益)が100円から80円に下がったら、PERは20倍から25倍へと上昇(=割高)になります。(2000 ÷ 80 = 25 ※下図)

逆に、自社株買いをして発行済株式総数が減ると、EPS(1株あたり利益)が上昇します。

仮に、株価は2000円と変わらなくても、自社株買いによってEPS(1株あたり利益)が100円から125円に上がったら、PERは20倍から16倍へと下落(=割安)になります。(2000 ÷ 125 = 16 ※下図)

以上がPER(株価収益率)の計算方法ですが、今度は「株価」を主語にして「PERの別の側面」を見ていきたいと思います。

株価を主語にすると、PERの「その銘柄に対する投資家からの期待値」としての側面が見えてくる。

先程、PER(株価収益率)は下図のように「PER = 株価 ÷ EPS(1株あたり利益)」で計算すると説明しました。

この図を以下のように「株価」を主語にして見てみると、PERが示す「株価の割高・割安」だけでなく、また違った側面が見えてきます。

このように株価を主語にして見てみると、「株価」が上がるためには「EPS(1株あたり利益)」が上がるか、「PER」が高くなるかのどちらかが実現すればよいということが分かります。

両者ともに上昇すれば、さらに株価は上昇します。

「EPS」は「当期純利益 ÷ 発行済株式総数」で計算した「1株あたり利益」なので、「企業の稼ぐ力」つまり「業績」と言い換えることができます。

「PER」は株価が割安か割高かを判断する投資指標ですが、PERが高いということはそれだけ投資家の期待値も高いということの現れです。(=多くの投資家から将来の成長を期待されて買われる → 株価が上がる → PERが上昇=割高銘柄に)

たとえば、2018年6月19日にマザーズ市場に上場したフリマアプリの「メルカリ」は、現状ではそれほど多くの利益は出せていませんが、PERが「741.4倍」と非常に高いです。(2018年8月31日時点)

PER741.4倍という数値は投資家からのメルカリに対する期待値の高さ以外の何ものでもありません。

メルカリは日本だけでなく、アメリカでもフリマアプリのサービスを展開しようとしているので、「日本で成功したように米国でも成功するのではないか?」という将来に対する期待値が株価に反映されています。

仮に、メルカリのPERは50倍が適正と判断するなら、メルカリの適正株価は250円ほどになります。(株価3700 ÷ PER741.4 = EPS4.99 → PER50 × EPS4.99 = 株価249.5)

つまり、今のメルカリの株価は「メルカリの将来に対する投資家の期待値が株価を大幅に上昇させている状態」と言えます。

こうやって見ていくと、PERは単なる「株価の割高・割安」を示すだけでなく、「投資家からの期待値」というもう1つの側面があることが伺えます。

すると、先程の株価を主語にした図は以下のように解釈可能です。

先程、「基本的に、マザーズ市場は新興企業が多いので、将来の期待が高くなるぶん、PERも高くなる傾向があります。」と言いましたが、まさに「将来の期待」という「投資家からの期待値」がPERを高くし、株価も高くしているのです。

このように考えると、業績がアップせず現状維持でも、何らかのニュースが出て投資家からの期待値がアップすれば、株価は上昇するということです。

メルカリの米国市場への挑戦もそうですし、ジャスダックや東証二部の銘柄が東証一部に鞍替えするという噂なども投資家からの期待値を上げる要因となります。(東証一部に入るとTOPIXに連動する投資信託やETFなどの買いが入ってくるので)

また、新規に始めた事業が高成長を期待できそうと投資家が判断すれば、実際に業績がアップする前にその期待をPERが織り込んできます。

PERを投資指標とだけ見てしまうと、「PERが高い=割高」という判断しかできなくなりますが、「PERが高い=投資家からの期待値が高い」という見方を付け加えることにより、高PER銘柄だとしても今後もさらに株価が上昇する銘柄を見つけられるきっかけになるかもしれません。

逆に、「PERが低い=割安」という判断をしたとしても、それは「投資家からの期待値が低い」ことの現れであり、今後もさらに株価は下落するかもしれません。

また、PERが割安だからという理由で投資したとしても、その割安状態が何ヶ月も、場合によって2〜3年も続くことはよくあることです。

PERを「株価の割高・割安指標」として見るだけでなく、「投資家からの期待値」という視点も付け加えることによって、「割高だから買わない」「割安だから買う」という画一的な判断から、さらにもう一歩踏み込んだ銘柄選別が可能になります。