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PBR(株価純資産倍率)とは、その意味と考え方、PBR1倍割れは割安で買いなのか?解散した方がマシなのか?

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投資を始めて、「PER(株価収益率)」の次によく目にするのが「PBR(ピービーアール)」です。

PBRは「Price Book-value Ratio」の略で、それぞれの単語の意味は「Price:価格・値段」「Book-value:帳簿価格・簿価(帳簿に記載されている資産・負債の評価額のこと)」「Ratio:割合・比率」です。

3つの単語の直訳だと「価格の中の資産・負債の評価額の割合」となり、「価格」を「株価」と言い換えると「株価の中の資産・負債の評価額の割合」となりますが、PBRは日本語だと「株価純資産倍率」と呼ばれています。

「PER(株価収益率)」が企業の収益力(稼ぐ力)を見る指標でしたが、「PBR(株価純資産倍率)」は企業の純資産を見る投資指標です。

より具体的に言うと、「PER(株価収益率)」は「株価が1株あたり利益の何倍まで買われているか」を示す指標でしたが、「PBR(株価純資産倍率)」は「株価が1株あたり純資産の何倍まで買われているか」を示す指標です。

PERとPBRの違いを別のたとえで分かりやすく説明するなら、あなたが結婚相手を選ぶ時に「年収の高さ(=稼ぐ力)重視するならPERを評価」「貯金の多さや親から受け継いた土地など(=純資産)を重視するならPBRを評価」したと言えます。

PBR(株価純資産倍率)の計算方法

先程、「PBRとは株価が1株あたり純資産の何倍まで買われているかを示す投資指標」と言いましたが、PBRは「株価」を「1株あたり純資産(BPS=Book-value Per Share)」で割って計算します。

◎PBR = 株価 ÷ BPS(1株あたり純資産)

ちなみに、BPS(1株あたり純資産)は「純資産 ÷ 発行済株式総数」で計算します。

PBR(株価純資産倍率)が1倍を割れたら割安だが、解散した方がマシという解釈もできる状態

一般的に、PBR(株価純資産倍率)は「1倍を割れたら株価は割安」と考えられています。

というのも、PBRが1倍割れの状態とは、帳簿上の資産価格より時価総額(株価 × 発行済株式総数)の方が安く見積もられている状態だからです。

それはどういことかと言うと、理論的にはPBRが1倍を割れている会社は解散価値の方が高いということです。

それはつまり、解散して資産をすべて処分すれば、株主は株価以上の利益を得られるということになります。

あとで詳しく説明しますが、純資産は株主のお金なので、会社が解散すると持っている株数に応じて純資産が株主に分配されます。

たとえば、「株価が1000円」で「1株あたり純資産が1250円」という場合(=PBR0.8倍 = PBR1倍割れ状態)、この時点で企業が解散したら株主は1株につき250円を手にできます。

1000株保有している人なら、いま解散してくれれば250,000円儲かることになります。(250円 × 1000株 = 250,000円)

つまり、「PBR1倍割れの状態とは、その企業は解散した方がマシ」という状態でもあるのです。

以前はPBRが1倍を割れそうになったら、その企業の株を底値で買うチャンスとみなされることもありましたが、2008年9月のリーマンショック以降、PBR1倍割れの企業は増加しました。

以下は、2018年9月4日時点の低PBR(実績)ランキング50です。

見ての通り、多くの地銀が低PBRな状態なことが分かります。

地銀はその昔、「大名」と呼ばれていたくらい安泰業種でした。

しかし、人口減や地域経済の長期低迷、2016年1月に導入された日銀のマイナス金利政策など地銀をとりまく収益環境が悪化し、稼げなくなっています。

余裕のなくなった地銀の中には、書類改ざんなどの不正行為に手を染める行員も出てきてニュースを賑わせています。

メガバンクと違い、国際業務の強化に手を出せるわけでもなく、潤沢な資金を持ちあわせているわけでもない地銀はまさに「株主から見たら解散した方がマシ」という厳しい状況が続いているのです。

今後は地銀同士の経営統合や合併がどんどん広がっていくと思われます。

貸借対照表(BS)から知る純資産の中身

はじめに、「PBR(株価純資産倍率)は企業の純資産を見る投資指標」「PBR(株価純資産倍率)は株価が1株あたり純資産の何倍まで買われているかを示す指標」と言いましたが、企業にとっての「純資産」とは具体的には何を指すのでしょう?

それを理解するには、「貸借対照表(BS)」を理解する必要があります。

「損益計算書(PL)」「貸借対照表(BS)」「キャッシュ・フロー計算書(CF)」を「財務3表」と言いますが、「貸借対照表(BS)」はどのように資金を集めて、何に使ったが分かるものです。

貸借対照表の右側には「お金を集めた方法」が来ます。

お金を集める方法は「負債」と「純資産」の2つです。

「負債」には銀行融資や社債発行などが入ります。簡単に言うと「借金」です。借金なので返済する必要があるお金です。

「純資産」には株式(=株主から集めたお金)が入ります。あなたが投資家として企業の株を買うと、ここに計上されます。

さらに、「純資産」には企業が稼いで貯めたお金も入ります。しかし、このお金も上場企業の場合は株主に帰属します。

つまり、企業にとっての純資産とは株主に帰属するお金ということです。

ただし、「純資産」は「負債」と違い返済する必要のないお金です。

返済する必要はありませんが、企業は株主に対して成長して応える必要があります。具体的には、配当を支払ったり、企業価値を上げて株価を上げる努力をします。

先程、PBRは「株価 ÷ BPS(1株あたり純資産)」で計算すると言いましたが、株価が「1000円」でBPS(1株あたり純資産)が「1000円」ならPBRは1倍です。(1000 ÷ 1000 = 1)

その後、株価が1200円に上昇したら、PBRは1.2倍になります。(1200 ÷ 1000 = 1.2)

逆に、株価が800円に下落したら、PBRは0.8倍になります。(800 ÷ 1000 = 0.8)

「純資産」よりも「負債」が多くなると、「自己資本比率」が下がり経営を圧迫します。(仮に売上が落ちたとしても、借金の返済は止まらないため)

逆に、「負債」よりも「純資産」が多い状態なら、不測の事態が起きた時でも、新たな借り入れでしのいだりといった選択肢もとれます。

貸借対照表の左側には「集めたお金の使いみち」が来ます。

そして、右側と左側の金額は必ず一致(イコール)します。そのため、バランスシート(Balance Sheet / 略BS)と呼ばれているのです。

PBR単体ではなくPERやROEと一緒に考える

PBR(株価純資産倍率)が1倍割れで割安と判断しても、その銘柄の株価がその後上昇するかどうかはわかりません。というのも、その後もずーとPBRが割安に放置されたままの銘柄も少なくないからです。

そこで、PER(株価収益率)やROE(自己資本利益率)とった他の投資指標と組み合わせて投資価値があるのか判断することも大切です。

PER(株価収益率)とは、その意味と捉え方、割高・割安指標だけでなく投資家からの期待値も示している ROE(自己資本利益率)とは、その意味と考え方、投資家の資金は効率的に使われているのか?

ROEとは株主が出したお金でどれだけ稼いだかを示す投資指標で「当期純利益 ÷ 自己資本 × 100」で計算します。

この「自己資本」とは、さきほどの貸借対照表の「純資産」に入るお金、つまり株主に帰属するお金です。だから、ROEを見ると、株主が出したお金がでどれだけ効率的に稼げているのかが分かるのです。

2014年に経済産業省から公開された「伊藤レポート」では、上場企業は最低でもROE8%を上回るべきと書かれています。

「伊藤レポート」以降、多くの企業はROE8%以上を目指すようになりました。

PBRの計算式は「PBR = 株価 ÷ BPS(1株あたり純資産)」ですが、以下の公式でも計算できます。

「PBR = PER × ROE」

つまり、PBRが低い銘柄はPERやROEも低い傾向にあるということです。

たとえば、「低PBR低PER高ROE」の銘柄の場合、株主から預かった資金を効率的に使えているけど、投資家からの期待値が低く、割安に放置されていると考えられます。このケースでは、稼ぐ力はあるけど、マーケットでは目立っていないだけということも考えられます。

低PBR高PER低ROE」の銘柄の場合、投資家からの期待値は高いけど、株主から預かった資金を上手に使えなくて、割安に放置されていると考えられます。

低PBR低PER低ROE」と3つの指標が全て低い銘柄の場合、資金効率も低く、稼ぐ力も低いのでマーケットから評価されず、割安に放置されていると考えられます。

また、現金(キャッシュ)を持ちすぎる(=投資家から預かった資金を上手に使えていない)とROEが低下しますが、裏を返せば「お金持ち企業(キャッシュリッチ)」なので、後々、海外の物言う株主などに経営をテコ入れされて、株価が上がることも期待できます。

そのため、ROEが低くて、その結果としてPBRも低い銘柄の場合、自己資本比率もチェックしておきたいところです。