知っておきたい豆知識

パナマ文書の舞台となったタックスヘイブンとは?国・地域の一覧

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タックスヘイブンとは? 国・地域一覧

2016年4月3日に流出し、世界中のメディアで大きく報道された「パナマ文書(Panama Papers)」。

課税が免除・軽減される国や地域である「タックスヘイブン」が舞台となった大スキャンダルとなりました。

今まで表に出てこなかった各国首脳や著名人たちの隠れた資産運用が明らかとなったということで、今後もこの話題は続きそうです。

タックスヘイブン自体は違法ではないものの、一般的には資産隠しとも見なされており、税金の徴収を監督する立場の各国首脳らには、道義上の責任が厳しく追求されています。

たとえば、アイスランドのグンロイグソン首相は「パナマ文書(Panama Papers)」に名前が載っていたことで、4日後の4月7日に辞任に追い込まれました。

習近平を含む最高指導部3人の親族の名前が載っていた中国では、「パナマ文書(Panama Papers)」の報道に厳しい規制がかけられ、現在では「パナマ」はインターネット上での検索禁止用語に指定されています。

ウィキリークスはTwitterで「パナマ文書の流出には米国国際開発庁(USAID)と米投資家のジョージ・ソロスが関わっており、プーチン弱体化を狙ったもの。」と発表していますが、ハードディスク2.6TB分のデータが公開されてしまった理由も気になるところです。

今回はパナマ文書の舞台となった「タックスヘイブン(租税回避地)」について、また現在タックスヘイブンとなっている国や地域についても解説します。

そもそも、タックスヘイブンって何?

タックスヘイブンとは所得に対して税金をかけないか、かけても税率が極端に低い国や地域のことです。

タックスヘイブンは、英語だと「Tax Haven」と書き、日本人の感覚で直訳してしまうと「税金天国」となってしまいますが、実際は「Haven」には「天国」という意味はなく、「安全な場所、安息所、避難所」といった意味になります。

そこで、日本語では「租税回避地」と呼ばれています。

本来なら、経済活動を行って得た所得に対しては税金が課税されますが、タックスヘイブンに資金を移動させることで本国での課税を技術的に回避できます。

この行為自体は現状では脱税とは見なされず、違法とはされていません。

OECD(経済協力開発機構)は、タックスヘイブンの定義として以下の3点を挙げています。

  • 厳格な秘密保護法の元、他国と企業情報や資金の流れなどの情報交換をしない。
  • 税制や税の管理監督に透明性がない。
  • 設立された企業や誘致された投資などに実質的な活動を求めない。(ペーパーカンパニーや架空の投資のこと)

タックスヘイブンの国・地域の一覧と地図

地図

  1. アンドラ/Andorra(英国領)
  2. アンギラ/Anguilla
  3. アンティグア・バーブーダ/Antigua and Barbuda
  4. アルバ/Aruba
  5. バハマ/Bahamas
  6. バーレーン/Bahrain
  7. ベリーズ/Belize
  8. バミューダ諸島/Bermuda(英国領)
  9. イギリス領ヴァージン諸島/British Virgin Islands(英国領)
  10. ケイマン諸島/Cayman Islands(英国領)
  11. クック諸島/Cook Islands
  12. ドミニカ/Dominica
  13. ジブラルタル/Gibraltar(英国領)
  14. グレナダ/Grenada
  15. リベリア/Liberia
  16. リヒテンシュタイン/Liechtenstein
  17. マーシャル諸島/Marshall Islands
  18. モナコ/Monaco
  19. モントセラト/Montserrat(英国領)
  20. ナウル/Nauru
  21. オランダ領アンティル/Netherlands’ Antilles
  22. ニウエ/Niue
  23. パナマ/Panama
  24. セントクリストファー・ネイビス/St. Kitts and Nevis
  25. セントルシア/St. Lucia
  26. セントビンセント・グレナディーン/St. Vincent & Grenadines
  27. サモア/Samoa
  28. サンマリノ/San Marino
  29. タークス・カイコス諸島/Turks and Caicos Islands(英国領)
  30. バヌアツ/Vanuatu

タックスヘイブンは英国領(イギリスの海外領土)だった国や地域が多い傾向にあります。

イギリスは第一次、第二次大戦までは世界経済の中心でしたが、2つの大戦後はその地位をアメリカに譲り、国としては弱体化してきました。今ではヨーロッパでも1位の座をドイツに譲っています。

自国が弱体化しているイギリスは、領土とした国や地域の発展に貢献する余裕はなくなっていきました。

そのため、タックスヘイブンとなっている国や地域は貧しい状態から抜け出せなくなってしまったので、産業支援としてタックスヘイブンを活用したという背景があるようです。

タックスヘイブンとなれば、国際物流の拠点の1つとしての地位を確保できるので、外貨獲得などのメリットがあります。

同時に、英国領はイギリス法がベースとなっているので、先進国からしてみると法律的な信頼度は高いと見なされました。

そこで、金融や法律の専門家に入ってもらい、アドバイスをもらいながら使いやすい会社法だったり、優遇された税制が加わってタックスヘイブンとして発展していったという背景もあるようです。

タックスヘイブンとなっている国や地域が資金を稼ぐ手段

税金を取らないなら、タックスヘイブンとなっている国や地域はどのようにして国を運営する資金を稼いでいるのでしょうか?

たとえば、ケイマン諸島には海外から来た白人の数が圧倒的に多いと言われています。

というのも、人口約5万人のにうち、公認会計士が約1000人(人口の50人に1人、日本の90倍)、弁護士が約700人(人口の80人に1人、日本の70倍)と多く、これらはおそらく先進国からやってきた外国人だと思われます。

税金を取らないとどうやって国を運営する資金を集めるのかと言うと、関税や間接税で収入を得ています。会社手数料や金融機関のライセンス料、宿泊(観光)税、自動車税などです。

このように、タックスヘイブンは小国にとって産業の1つとなっているのです。

タックスヘイブンが世界各地に広がる理由

タックスヘイブンは現状では違法とされていませんが、どう見ても怪しさはあります。

そんなタックスヘイブンが世界各地に広がった理由の1つとして、「経済的な合理性」があります。

近年、欧米の企業は税金を「コストの一部」と考える傾向が強くなっています。

また、企業の目的の1つとして「儲けを増やす」ことがあります。。

そのため、税金が優遇されている地域に会社を作ったり資産運用することで、「税金が安くなる=コストが低くなる=儲けが増える」という経済的な合理性が働くのです。

また、投資ファンドなどだと、運用資金に年金が入ってくるので、年金の価値を増やすという意味でタックスヘイブンを利用しています。

年金受給者にとって受け取る年金の価値が上がることは、経済的な合理性につながります。

このような企業や投資ファンドの節税スキームの延長上に、個人の富裕層の節税スキームとしてもタックスヘイブンは利用されています。

タックスヘイブンの関連サイト・書籍

タックスへイヴン Tax Haven (幻冬舎文庫)
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タックス・ヘイブン――逃げていく税金 (岩波新書)
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タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!
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小富豪のためのタックスヘイヴン入門 (Cool & smart investors)
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